ココロノカケラ
もう少し。
もう少し。
それ、走れ!!!
と、
「あーあ」
言って、笑う声がした。
「何やってるんだか」
こっちは
ハルちゃんの声だった。
見ると
ソウマと一緒に
校門のすぐ横の壁に
もたれてこっちを見ている。
あたしは走り出すのをやめて
ぴたりと立ち止まった。
「そっちこそ、何を?」
「聡太郎に、ちょっと
キリカを独りにしてくれって
頼まれたから、
独りにして黙って見てたんだ」
ソウタロウ?
さっきのでっかい彼が、
ぬっとあたしに追いついてきた。
「玉砕。じゃ」
ソウマに苦笑いを見せると、
もうキリカのことなど見もせずに、
彼はさっさと行ってしまう。
「話くらい、聞いてあげた?」