ココロノカケラ

知っているシルエットだった。

雨でずぶぬれの、ソウマ。

あたしは、玄関を飛び出した。

共同玄関はすぐそこだった。

ドアの前に立つと、

ドアはすっと開いた。

ソウマが、半開きのドアに

肩を突っ込むようにして入ってきた。


「ソウマ。まさか来てくれるなんて」


言い終わらないうちに、

濡れた塊が、抱きついてきた。

冷たくて、

でも、じっとしてると、

暖かさも伝わってきた。

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