恋し金魚
母さん、タロウが1番大切みたいに… 僕なんかいらないんだ。」




「そうかなぁ……」




「絶対そうだよ!!」



「私は違うと思う。たくみくんが思ってるよりお母さん今大変なんだよ?」



「そんなこと…知ってるよ。」



「だったらたくみくんのこともちゃんと愛してる。」



「どうして…?」




「たくみくんのこともそうやって大切に育ててくれたからだよ。今はタロウくんがその番だから忙しいけど、きっとお母さんはたくみくんのこと大好きだよ。」






「………本当に?」



「うん!」





「…りがと。」





元気出してくれたみたい…



よかった…









「花火は?」





「え…?」





「花火はどうしてここにいるの?帰らないの?」








「わたしは…」









どこに帰ればいいの?





自分から逃げて





「花火?」










「たくみくん…」




「何?」








「金魚が人間になるなんてこと 信じる?」






「え…何 急に…」





信じないかな…




信じないよね?








「し…信じる!スゲーじゃん!」







…え…





「そんなことありえないかもしれないけど…金魚だって生き物だろ?」










金魚だったころ、


思ってたことがある。





どうして人と動物は話せないのだろう?




同じ生き物なのに。






神さまはどうして分けたんだろう …って





今なら話せるのに。




伝えられるのに。





私 逃げてばっかりだった。
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