恋し金魚
私は


幸くんが好き。






「たくみー!!」




「え…母さん!?」




たくみくんのお母さんが向こうから走ってくる。





「母さん…」




たくみくんの前にくると思いっきり抱きしめた。




「馬鹿!急に家出するなんて!!」




「痛いよ…母さん」





「家に帰ろう…?」





「うん…」









帰り際に



「花火…ありがとう。」




そう言って帰っていった。











「これからどうしよ……」




辺りは知らない場所。


街の商店街はだんだん賑やかになっていた。







「迎えになんか来てくれないよね……」




あんな手紙置いてきちゃったし…



今更戻るなんて…





だんだん涙が溢れてきた。







いつからこんなに泣き虫になったんだろう。




幸くん



会いたい…




会いたい…!















「花火ーーーーーっ!!」





幸くんの声……




幸くんだ…





「花火…っいた…」



そんなに息切れして…



どうして探してくれるの?





「どうして!?なんで私なんか探すの?…わっ!?」




急に腕を引っ張られた。




ぎゅっと抱きしめられた。





「はなびちゃん…金魚だよね?」



「……うん。」




「すごいや…花火すげーよ。」




「うんっ… 幸くん ごめんね…」




「うん。」








ほらね



あなたはそうやってすぐに私を見つけてくれるんだ
< 16 / 25 >

この作品をシェア

pagetop