恋し金魚
シューーッ


「わぁ!すごぉい!キレーっ!」


「はなびちゃん大げさだよー。」



「だって初めてなんだもん!」


「初めて!?花火が!?」


「うん。…あ でも一回だけ見たことあるよ。」



「一回だけ?」



幸くんは…覚えてるかな?



あの時の花火を





「4年前の夏祭りに…ね。」




「え?」



ドンッ ドンッ



「わぁっ!打ち上げ花火だぁー!」



真っ暗な空に小さな花火が次々とあがった。


「キレイだね。幸くん!」


振り返ると幸くんは考え込むように黙っていた。


「幸くん?」


「あ…ごめん。何?」


「…今日元気ないよ?」



「そう…見えるかな?」


「なんかあった?」





「花火が いなくなってたんだ。」



ドクン。




「昨日の…朝まではいたんだ。でも帰ってきたらいなくなってて…」




いないよ 幸くん



だって



花火は私だもの



「家族だったんだ。…ただの
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