空の姫と海の王子
◆序章
雲一つない青い空
透き通った青い海
誰もいない真っ白な砂浜で
少年は黙って空を見上げた
森の木々を揺らした風が
少年の緑色の髪を撫でて通り過ぎる
「幸せなのか?」
空に向かって小さく呟くと
眩しすぎる太陽に手を伸ばし
そのままギュッと拳を握った
世界を優しく見守る空
世界に恵みを与える海
世界を支える唯一無二の存在
「誰も知らない」
その二つを支える存在があることを
「……待ってて春。必ず迎えに行くから」
決意の光が輝く金色の瞳は
真っ直ぐに空を見つめていた
_