空の姫と海の王子


そんな俺を黙って見ていた女は
ふう、と溜め息をついてベッドの横に座った


「無理すんな。あんた2日も寝てたんだから。死んでるのかと思った」

「2日も?」

「そう。たまたま道に倒れてたあんたを家に連れてきて介抱してあげたのはこのあたし。なのに感謝の言葉も無い訳?」


やけにムカツク言い方だな

だけど俺は何で道に倒れてたんだろうか

その前まで俺は何をしていたんだろうか


さっきから思い出そうとしてるのに
頭の中は霧がかったみたいに真っ白で


「……けど、あんたを連れてきたのは間違ってなかったみたいだね」

「は?」


女は机の上に置いてあった
鏡を俺に向かって差し出した

俺は黙ってそれを見つめた

深い海色の瞳と目があった


「あんた……能力者でしょ?」


"能力者"

その言葉に俺は眉をひそめた


「能力者?何それ」


この女は一体何を言ってるのだろうか


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