空の姫と海の王子


この瞳の色は生まれつきで

だけど集中すれば瞳は茶色に戻るから
変だとは前から思っていたけど
そんな気にする事でもないと思ってた


瞳を茶色に戻した俺を見て
女は不機嫌そうに口を尖らせた


「¨リバース¨出来るのに¨能力者¨がわからないの?あんた本当に馬鹿じゃないの!自分の能力の使い方分かるんでしょ!?」

「能力?別になんも無いけど」

「はあぁぁああッ!?」


やっぱうるせえ

女は信じられないと言うように
口をぱくぱくと開いている

あ、金魚みてぇ


「有り得ない……1才の子供だって能力者を知ってるのに。本当に有り得ない……」

「うるせえな。別に知らなくても生きてけるからいいんだよ」

「あんた、よくそれで今まで生きてきたね。どんな生き方してきた訳?」

「どんなって……」


──ズキン


思い出そうとした瞬間
頭の奥に小さな痛みが走った

だけどそれは本当に一瞬で
俺は何事もなかったように話を続けた


「別に、普通。普通の高校行ってる、普通の高校生だけど」

「……ふーん。あんた高校生なんだ。何年生?」

「3年」


何故かあやふやな記憶から
質問の答えを見つけていく


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