空の姫と海の王子
アンティーク調に統一された店内は
高級感がある上品な雰囲気
しかし何故か気持ちが落ち着く
そんな空間になっていた
小さな店内はカウンター席のみ
この店の主人と思われる男は
磨いていたカップを置き
男に向かって優しく微笑んだ
「こんにちは優さん。そろそろ来る頃だと思って、コーヒー淹れときましたよ」
「ありがとうございます。丁度暖かい物が欲しかった所だったので嬉しいですね。」
男──須藤優はカウンター席に座ると
コートを畳むと空いている椅子に置いた
それと同時に優の前にコーヒーが置かれた
香ばしい匂いに思わず笑みが溢れた
優はそれを一口だけ飲んでカップを置く
そして真剣な瞳を男──マスターに向けた
「それで、話とはなんでしょうか?」
「話があるのは私ではありませんよ」
「?じゃあ誰が……」
そこまで言って、優は振り返った
来客を知らせる鈴の音と共に
一人の少女が店に入ってきた
腰まで白銀の髪
人形のように完璧な顔立ちは
笑ったら可愛い筈なのに無表情
雪のように白い少女は
驚く優に視線を向けた
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