空の姫と海の王子
「初めまして奈々さん。私は須藤優と申します。よろしくお願いしますね」
「ええ」
奈々は優に向かって微笑むが
心がズキン、と痛んだ
二年前も同じような挨拶を交わした
たくさんの楽しい日々を過ごして
辛い事もみんなと一緒に乗り越えた
もしも奈々達が人間のままでいたら
今後も変わらず、楽しい日々を
この仲間達と過ごしていただろう
だけど私達は人間でいる事を捨てた
世界を守る為に
春達を守る為に
奈々と陸は神として戦う事を選んだ
勿論その事に後悔はしていない
逆に人間のままでいた方が後悔した筈だ
「分かってると思うけど、奈々は私達と同じ能力者」
「由紀が連れてきたのですからね。ところで、何の能力なんですか?」
一年前、全てが終わった後
春と海斗の王位継承式典が開かれた
特別に招待された由紀達と
式典から逃げ出した挙げ句
人間界の島に遊びに行った二人を追いかけ
みんなで騒いだのが最後となった
神々の存在も、春達王族の存在も
人間には知られてはいけないから
_