空の姫と海の王子


「──それでねっ!大臣ったら本当に恐くて……ねっ!」

「本当だよ……恐ろしい」

「あらあら。大変だったわね」

「大臣には誰にも逆らえないからな」


夕食の席でハルとレンは愚痴るが
その表情はどこか楽しそうで
向かいに座る二人の男女も
楽しそうに微笑んでいる

この二人はハルとレンの両親

楽園では夕食は家族で食卓を囲むという
微笑ましい伝統が受け継がれている


ハルとレンは両親が大好きだ

今まで会えなかったのに
ずっと一緒にいたような感覚


これが、家族……


心が暖かくなる幸せな空間に
ハルは頬を緩ませて笑った


「何笑ってんだ?」

「んふふ〜。別に〜?」

「あら、気になるじゃない」

「お父さんとお母さんには秘密〜っ」


ハルが笑顔で言ったその言葉に
フォークを落とす父と涙を浮かべる母


「あなた……春が反抗期だわ……」

「春……お父さんは悲しいぞ!」

「ハルは家族でご飯が食べれて幸せなんだって」

「ちょ、レン!言わないでよーっ!」


慌てるハルにレンがニヤリと笑う

両親は顔を見合わせると
幸せそうに微笑んだ


「私達も……ねえ?」

「ああ、幸せだ」


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