空の姫と海の王子


「春は──」


春の小さな声を遮るように
ゴウッと強い風が吹いた

春はまた少年に背を向けて
ゆっくりと歩きだした

少年はその小さな背中に向かって呟いた



「そっか……でも、それでいい」


それだけの力が
君にはあるんだから


少年は先程とは違う笑みを浮かべ
春の後に続くように歩きだした


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