空の姫と海の王子


──聞き間違えだと思いたい
実はこれは冗談でドッキリで
みんなが自分を騙そうとしてるんだと


「だからさ……嘘でしょ?」

「何度も言うけど、事実だよ」


悔しそうに目を伏せたウタの表情は
嘘をついているようには見えない


魔界から帰ってきて

春ちゃんに愛のハグをしようと
ウキウキしながら帰ってきて

そしたらこれだ


「¨空と海の扉¨がキレて、春ちゃん達をどこかに飛ばしたあ?有り得ないよ、だってあいつの主人は春ちゃんと海斗でしょ?」

「あいつは春と海斗を主人だと認めなかった」


低い声が後ろから聞こえて
蓮は顔だけ振り返った

壁に寄りかかっていたソウと目が合う
その目もやはり、嘘はついていない

蓮は顔を前に戻して神々の顔を見つめる
どの顔も真剣に自分を見返した


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