空の姫と海の王子


「本当……なんだね」

「……すまなかった」


蓮が大きな溜め息をつくと
サラとミウが口を開いた


「私が春達を守れなかったせいだ、すまない」

「ごめんなさい」


そういって頭を下げた二人は
春達を守れなかったことを
どれ程悔やんだのだろうか

目の前で消えてしまった主を
この無限に広がる花畑の中
どれだけ探し回ったのだろうか

二人の純白のローブの裾には
土が付いて汚れていた


「それが¨空と海の扉¨の力ならしょうがないよ。もしその場僕がいても、君たちみたいに何も出来なかっただろうし」


蓮はもう一度溜め息をつくと
だけど、と言葉を続けた


「その時何も出来なかったなら、今から全力で探せばいいんじゃないの?」


そう言って口端を上げた蓮は
スッと右手を前に突き出した

その行動にユラは首を振った


「無駄です。¨空と海の扉¨の力のせいか分かりませんが、今は空間が非常に不安定な状態です。空間移動は……」

「僕に操れない空間は無いよ」


突き出した右手を中心に
空間が歪み、暗い穴が現れた


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