空の姫と海の王子


その光景にユラは思わず息を呑む

目に見えない空気の流れを掴むのは
そんな簡単に出来る事では無い

生まれ持った才能なのだろう
蓮の空間術は他の誰よりも長けていた


「ん〜、やっぱ扉までは作れないな……気に入らないけど、いっか」


大きな溜め息をつき
穴の淵に片足を乗けると
振り返りヒラリと手を振った


「じゃ、僕は行くから。そっちはそっちで何とかしといてね」


よろしく〜、と蓮が穴に入ると
穴はすぐに消滅し跡形も無くなる

ユラはシワの寄った眉間に手をあて
キラは慌てた様子で隣に立つソウを見上げた

腕を組んだまま、さっきまで
穴があった場所を睨み付け
ソウは大きく舌打ちをした


「あの馬鹿共……戻ってきたらタダじゃおかねえ……」

「ソ…ソウ……そんな怒るなって〜……」


蓮に続いて穴に入った
サラとウタとミウ

そして緊急時にも関わらず
姿を見せないセラ

どいつもこいつも
自分勝手な奴ばかりだ


「……お前らは扉が暴走した理由を見つけろ」

「分かりましたが、ソウはどうするのですか?」

「俺は別で調べる。各自分かり次第連絡しろ」


三人は頷き合うとすぐに大広間を出ていった


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