空の姫と海の王子
──白と緑で統一されたリビング
散らかるゴミと服と化粧品がなければ
清潔感のある部屋だったのだろう
独り暮らしにしては広すぎる
そんなマンションの一室で
布団の中で丸まっていた女は
身体を起こして背伸びをした
「よっ、と」
ベッドから降りて顔を洗って
一杯の水を飲んで眠気を覚ます
ピンクベージュに染められた髪は
ちょうど肩に付くぐらいの長さで
ガシガシと頭を掻きさえしなければ
少し幼いけど整った顔立ちも含めて
見た目はとても可愛いらしいのだが
「………」
女は空になったコップを置くと
リビングの隣のドアに近寄り、開けた
リビングと同じ白と緑で統一された部屋
床に敷かれた布団の中で
男が静かな寝息をたてていた
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