空の姫と海の王子


自分がこの男を拾ってから
一週間が経とうとしていた

金を持っている様子はない
服も食事も風呂も与えている
家賃も彼女が払っている


つまり、居候。


──ドコォッ!


「──!?てめえ……」


脇腹に入れられた蹴り
海斗は息を詰まらせると
凄まじい殺気を放ちながら女を見上げた

女も負けずに殺気を放つ
暫く見つめあった後
女はクスリと微笑んだ


「いつまで寝てんの?さっさと飯作ってよ、このあたしをいつまで空腹の状態で待たせる気?洗濯に掃除、やることいっぱいあるんだからね?」

「だから朝から蹴りか?てめえ本当に女か?」

「そんな女に世話になってるのは誰かな〜?い・い・か・ら、さっさと起きろ!!」


神業。

海斗がまばたきをする間
その一瞬で布団を畳み
綺麗に押入れにしまった


寝起きが悪く
最高に機嫌が悪い海斗は
大きく舌打ちをし、部屋を出ていった


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