空の姫と海の王子
「¨闇雲¨」
辺りが暗闇に覆われる
いや、実際に覆われているのは
白いコートを着た者逹だけだ
さっきまで勢いついていた男の顔色が
サッと青くなりガタガタと震え出す
「何故だ……何故お前がいる!?」
「あんたに答える義理はないでしょ?」
ピンクベージュの髪を揺らして
ひかりは振り返って海斗を睨む
「これであんたに貸しが増えた。帰ったら掃除洗濯よろしくね」
「お前……」
帰ったら、ということは
また家においてくれるということで
海斗は左腕を押さえながら
その場に力なく座り込んだ
「ああ、分かってるよ」
「じゃ、交渉せいりーつ……って事で」
ひかりは指を軽く振って悲しげに微笑んだ
「ごめんね精霊逹¨ちょっとだけ我慢して¨」
「う、うあぁぁあ!!」
体にまとわりついた闇が大きくなり
男逹を飲み込んでいく
足掻けば足掻くほど
そのスピードは速くなり
完全に闇に取り込まれると
闇は霧のように消えてしまった
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