空の姫と海の王子


その光景を茫然と見つめる海斗に
ひかりは苦笑いしながら言った


「大丈夫、殺してはないから。あいつらの闇を取り除いたら出してあげるんだ」

「……それがお前の力なのか」

「そう、あたしの能力は……闇」


手のひらに広がる闇を見せると
海斗はそれを見つめ、そして倒れた


「ええ!?かっ海斗!?やばッ、診療所連れてかなきゃ!!」

『ひかり、そんなに慌てる必要はないわ』


寝てるだけよ

雅の言葉にホッとしたひかりは
小さく寝息を立てる海斗の横に座った


今の戦闘でそんなに体力を消耗したのか
それとも何か別の理由があるのか

さっきのポトフを通じて
海斗の心を隠す闇に触れたひかりは
そっと海斗の髪を撫でた


「大丈夫、あたしが海斗を守るから」


あまりの闇の大きさに同情しただけ

それを取り除いてあげたいだけ

ただ、それだけだから


自分に言い聞かせるように
何度も心の中で唱えた


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