空の姫と海の王子


──空から降り注ぐ雪は
いつの間にか止んでいた

窓の外に広がる一面の雪景色


ここはどこだろうかと
部屋の中を見渡していると
扉がコンコンと叩かれた


「海斗、入るよ……って、起きてたんだ」

「ん、今起きた。ここは……?」

「あたしの友達の家。怪我が酷かったから治してもらったんだよ。後でお礼いいなよ?」

「ああ、そうだな」


サイドテーブルに朝食を置いて
ひかりは窓の近くの椅子に座った

雪が積もった外を見て
そのまま海斗に視線を移した


「あたしはこれから暫く帰ってこれない仕事に行ってくる。その間はここの使用人が面倒見てくれるから」

「ああ、必要ない。目的が出来たから、俺も暫く外に出るつもりだ」

「目的?」


ひかりが聞き返すと海斗は頷いた


昨日会った女を探して
俺の事を教えてもらう

そうすれば
何かを思い出せる筈だ


「ま、人捜しだよ」

「ふーん……そんなに弱いのに?」


ひかりの言葉にピクリと反応する

女に弱いと言われて
黙ってる男なんて男じゃねえ


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