空の姫と海の王子


「ああ?あん時は調子が悪かっただけだ、いつもなら………」

「……いつも?」

「……いつも?」


海斗とひかりは同時に首を傾げた

そんな海斗を見てひかりは笑い
笑われた海斗はムッとして視線を外し
そして表情を真剣なものに変えた


「……絶対に思い出す。なんか、すげー大切な事を忘れてる気がして、気持ち悪りぃ」

「ふーん……。じゃあ、あたしと来る?」


自分を指差して笑うひかりを見て
海斗は少し考え込んだ


ひかりと行けば強くはなれる

その先にあの女がいるとは限らない

だけど、それに賭けてみるのもいい


「分かった。お前と行く」

「はい決定ー!!じゃ、旅先の洗濯と掃除と料理は海斗の仕事!!」

「はあ?お前……結局そこかよ」


呆れたように言った海斗

ベッドから立ち上がると
ひかりの頭にポンと手を乗せて
小さく微笑んだ


「よろしくな」


そう言って海斗は部屋を出ていく

ひかりは暫く俯いたまま動かずにいたが
その理由はひかりと雅にしか分からない


『………ひかり』


胸を締め付ける想いに
切なそうに目を伏せたひかり

その頬は微かに赤く染まっていて
確実に大きくなっていく想いが
何なのかを物語っていた


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