空の姫と海の王子
「由紀ー!マスター!久し振りー!!」
「あー!優もいるー!調度良かったっ!二人に話があったのー!!」
ドーン、と登場して
騒がしく話す瓜二つの子供
黒髪のショートカットと
その愛らしい顔には
奈々も見覚えがあった
「あれー?その美人さん誰ー?」
「はじめましてだねー」
「僕は西園寺玲!」
「あたしは西園寺蘭!」
「「よろしくねー!!ねえねえ、なんてゆうのー?」」
見事にハモった声が懐かしく
奈々は思わず笑った
しかし、双子の後ろから現れた人物を見て
その笑みはすぐに引っ込んでしまった
短い赤い髪
たくさんのピアス
燃えるような、紅い瞳
「お前ら俺を忘れてんなよ!!」
「「うるさい陸黙ってー」」
「なんだとこのクソガキ共!!」
「僕たちもう中学生だもーん」
「立派な大人だもーん」
「ただのクソガキじゃねえかっ!!」
ギャーギャーと言い争う三人に
由紀と優が呆れたように話してるが
奈々には何も聞こえなかった
無意識に笑顔になった奈々は
陸に歩み寄って名前を呼んだ
「陸、あなた無事だったのね」
きっとこの後は抱き付いてくるけど
能力が無いからいつもみたいに潰せないわ
だから仕方無く
今日は許してあげようかしら
そんな事を考えていた奈々に
陸は不思議そうに首を傾げた
「……誰だっけ?俺の知り合い?」
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