空の姫と海の王子


睨み合う三人の横で
由紀が無表情のまま問う


「理由は?」

「はあ?理由?」

「そう、あなたが¨EARTH¨に入りたい理由」


その場にいた全員が由紀と陸に注目する

由紀は意味もなく口を開かない
開いたならそこには必ず意味がある

陸はポリポリと頬を掻いて
あー、とやる気のない声を出した


「わかんねえ」

「「わかんないんかい!!」」

「二人共黙って下さい」


シュンと子犬のように落ち込む双子が
とぼとぼとカウンターに移動すると
マスターが温かいココアを置く

ニコニコと笑顔になった二人の後ろで
陸はでも、と言葉を続ける


「わかんねえけど、お前らと一緒に行った方がいいと思った」

「なんで?」

「………何かを忘れてる気がするんだ」


陸の発した言葉に
奈々がピクリと反応する


「すっげえ会いたい奴がいるんだ。名前も顔もわかんねえけど、お前達と一緒にいたら会える気がするんだよ!馬鹿みてえだけど、俺の勘がそう言ってんだ!!」


陸の言葉に由紀は静かに目を閉じ
優と玲と蘭とマスターも二人を見つめる


背中を向ける奈々は片腕を押さえ

そっと目を伏せた


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