空の姫と海の王子
「頼む、自分の身は自分で守る。絶対お前らに迷惑はかけねえから、俺を一緒に連れてってくれ」
そう言って頭を下げた陸
由紀と優は頷き合って
由紀が静かに口を開いた
「いいよ、連れていってあげる。だけど、条件があるよ」
「本当か!?……って条件?」
「うん、私達は強い。けど相手も強いんだ。油断した人間は、死ぬ」
戦場で甘い考えは許されない
気を抜いた瞬間に首が飛ぶ
一瞬一瞬に全てを懸けて戦う
それが、現実
由紀は奈々を指差した
「私達の代わりに、奈々を守る事。それが条件」
由紀の指を追って
奈々の背中に視線を移した
ゆっくりと振り返った
アメジストの様な瞳と目が合う
陸は眉間に皺を寄せ
奈々は笑みを浮かべた
「ふざけんな」
「冗談じゃないわ」
「「…………」」
「絶対に嫌だ」
「絶対に嫌よ」
重なった声と視線
優は小さく吹き出し
由紀はクスクス笑い
玲と蘭は固まった
この二人に
協調性という言葉は
存在しないのか、と
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