空の姫と海の王子
陸に助けられた
悔しいから罵倒した
……違うの
悔しくなんてないの
嬉しかったの
記憶は無い筈なのに
私の事なんて覚えてないのに
それでも私を守ってくれた
それが嬉しかった
ありがとうも言わないで
馬鹿なんて言ったのに
陸は私の頭を撫でて
心配までして
自分の方が重傷なのに
なのに、なんで
「私がやるから……陸は逃げなさいよ!能力も使えないくせに、まともに戦える訳ないじゃない!」
違う、違う、違う
こんなこと言いたくない
こんなことを
言いたいんじゃない
逃げて
それだけが言いたいの
「能力なんて無くても戦える。今までずっとそうだったんだからな」
「でも……!」
「いいからじっとしてろ!」
陸が怒鳴るとリベルは口元を歪ませ
そして楽しそうに陸を見つめる
「まるで威勢が良いだけの獣の様だな」
「黙って死ね!」
陸が殴り掛かるとリベルは口を開いた
「《さあさ、踊りなさい。戦意を失った兵士の様に絶望を味わえ》」
「黙れって言ってんだろ!」
陸の拳がリベルに当たり
リベルは地面に叩き付けられる
痛みに顔を歪ませるリベルには
明らかに焦りが見えていた
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