空の姫と海の王子
「何故!?何故私の¨言霊¨が効かないの!」
¨言霊¨
それは万物に語りかけて
それらを自在に操る能力
奈々の体が勝手に動いたのは
その能力のせいだったのだろう
しかし、言霊に縛られずに
陸はリベルを蹴り飛ばした
「《さあさ、踊りなさい!恐怖に押し潰されてしまえ!》」
「うるせえ!」
最大の力を込めているのに
やはりリベルの言霊は効かない
一つの可能性が頭に浮かんで
リベルはサッと顔を青くした
まさか、この男
言霊に縛られない程に強い
精神力を持っているというの!?
覚醒前の段階でこの精神力
なら、覚醒したら
この男はどれ程の力を得るのか
「気付いたみたいだな、俺の凄さが」
「まさか、日本にこんな男がいたとは思わなかったわ」
リベルの諦めた様な表情に
陸は勝利を確信し
次の瞬間、攻撃へと移った
ドン、と低い音と共に塀が崩れ
辺りには砂ぼこりが舞う
戦いが終わった事を悟った葵は
逃げている春を捕まえる為に
二人が戦っていた場所に背を向けるが
前に立ちはだかる奈々を見て冷笑を浮かべた
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