空の姫と海の王子
──Free Styleの奥にある階段
2階に上がる為のそれの裏には
もうひとつ、地下に降りる為の
隠し階段が存在していた
何重にもロックされた扉を開くと
そこに広がるのは白い廊下と幾つもの扉
一つの扉に手を掛けゆっくりと開いた
キィ、と小さな音を立てて扉が開く
部屋には白いベッドが三つ並んでいて
その内の二つには人が眠っていて
ベッドの横に座る玲と蘭と目が合う
「……由紀ちゃん」
「私が代わるから二人は寝ていいよ、もう夜だから」
「でも……」
蘭が辛そうに目を伏せると
由紀はしゃがみこんで目線を合わせた
「蘭のせいじゃないよ、意識を戻す事は本人にしか出来ない事だから。私達に出来る事はやった、後は二人を信じて待とう」
「………うん!そうだよね!」
「うん。……ほら、もう眠ったほうがいい。玲、蘭をよろしくね」
「了解したっ!蘭、行こう」
玲と蘭が部屋から出ていくと
由紀はふう、と息を吐いて
ベッドの上で眠る陸と奈々に視線を移した
ピクリ、と奈々の肩が震えた気がして
由紀は小さな口を開いた
「……頑張れ」
こんな所で負けちゃ駄目
君達にはやる事があるんだから
それは私達には出来ない
君達にしか出来ない事なんだ
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