空の姫と海の王子
ベッド脇に置かれた椅子に座って
由紀は奈々の小さく震える手を握った
「大丈夫、私達はずっと一緒にいる」
これからも、そう
「今までと、同じ様に」
もう駄目かもしれないと何度も思った
日々激化するSUNとEARTHの戦いには
たくさんの人と街が巻き込まれた
廃墟となった街には
家を失った人が集まった
自暴自棄になった人間は
諦めてひっそりと生きるか
憎しみを力にして戦うか
¨反能力者¨を掲げるSUNは
そういう人達を引き入れていき
どんどん力を増していった
たくさんの声が消えていく感覚に
何度も吐きそうになって
初めて千里眼の能力を恨んだ
目を瞑って見えるのは
真っ暗な世界と泣き叫ぶ人々
戦いに歓喜する狂った能力者
「……来てくれて、ありがとう」
終わる世界に落ちてきた希望の光
諦めずに走り続ければ
奇跡は何度だって起きる
それを教えてくれた君達が来てくれたから
「一年前の奇跡みたいに……もう一度、私達の世界を救って」
由紀の瞳から溢れた雫は
頬を伝ってシーツに染みを作った
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