空の姫と海の王子


答えない奈々と陸を見て
海斗は小さく笑った

それは見た事も無い冷たい笑み


「あの女を探す手間が省けたな。教えろ、俺の全てを知ってる限り。今すぐ」


淡々とそう告げた海斗は
側に置いてあったベッドに座る

二人の体を襲う殺気が増した

普通の人間なら気を失っても
おかしくない程の強い殺気

しかし、二人は普通ではなかった


「しまいなさい」

「あ?」

「この不愉快な殺気をしまいなさいって言ってるのよ」


海斗の体を突き刺す程に鋭い殺気が
奈々の体から一気に溢れだした

お互いに譲らない殺気に
風もないのにカーテンがはためく


「殺る気か?」

「ええ、殺る気よ」

「あ………あの、お二人さん?」


¨やる気¨がおかしいよ!
¨殺る気¨になってるよ!


海斗と奈々は楽しそうに笑うが
陸は冷や汗が止まらない


あー……
前にもこんなん見た気がするー


陸が悟ると同時に二人はニヤリと笑った


「「ぶっ殺す」」


ああ、やっぱり………


陸はグスンと涙を拭った


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