空の姫と海の王子


カチャ

金属音が聴こえたと思ったら
後頭部に冷たいモノが当てられる

降り注ぐ雨を遮る空模様の傘を眺めながら
春は珍しく真剣な声で呟いた


「銃を握るって事がどうゆう事か分かってて、あなたは春に銃を突き付けてるんだよね?」

「黙ってここから消えろ。でなければ、死ね」


パァンッ

引き金が引かれ甲高い音が辺りに響くと
ぬいぐるみの頭から綿が飛び散った


春が消えた


それが分かった瞬間
目の前の景色は空に変わった


「っ……!?」

「遅い」


地面から吸い取られた水分が
徐々に男の背中を濡らしていく

首に当てられているのは
さっきまで自分が持っていた銃


春は光が消えた空色の瞳で
動揺している男の目を見据えた


「戦いは遊びじゃないよ」

「…………」

「命を簡単に奪うのも戦いじゃない。命は簡単に奪っていいモノじゃないから、無くしたら二度と戻らな…………っくしゅ!!!」


パァンッ


可愛らしいくしゃみ
その直後に聞こえた銃声

横たわる男の真っ青な顔の真横
地面には小さな穴が開いている


「…………」

「…………えへ★」

「………¨えへ★¨じゃないよ」


必殺キュートウィンク(普通のウィンク)に
取り合えず男は冷静に突っ込みを入れた


_
< 207 / 339 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop