空の姫と海の王子
カチャ
金属音が聴こえたと思ったら
後頭部に冷たいモノが当てられる
降り注ぐ雨を遮る空模様の傘を眺めながら
春は珍しく真剣な声で呟いた
「銃を握るって事がどうゆう事か分かってて、あなたは春に銃を突き付けてるんだよね?」
「黙ってここから消えろ。でなければ、死ね」
パァンッ
引き金が引かれ甲高い音が辺りに響くと
ぬいぐるみの頭から綿が飛び散った
春が消えた
それが分かった瞬間
目の前の景色は空に変わった
「っ……!?」
「遅い」
地面から吸い取られた水分が
徐々に男の背中を濡らしていく
首に当てられているのは
さっきまで自分が持っていた銃
春は光が消えた空色の瞳で
動揺している男の目を見据えた
「戦いは遊びじゃないよ」
「…………」
「命を簡単に奪うのも戦いじゃない。命は簡単に奪っていいモノじゃないから、無くしたら二度と戻らな…………っくしゅ!!!」
パァンッ
可愛らしいくしゃみ
その直後に聞こえた銃声
横たわる男の真っ青な顔の真横
地面には小さな穴が開いている
「…………」
「…………えへ★」
「………¨えへ★¨じゃないよ」
必殺キュートウィンク(普通のウィンク)に
取り合えず男は冷静に突っ込みを入れた
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