空の姫と海の王子


「ごめんねっ、春は早くみんなを探さないといけないから」

「みんな?みんなってもしかして、」


海色の目の美形男と

長い黒髪の美女と

赤髪のチャラそうな男?


男がそう言うと
春は首が取れるくらい
大きく首を縦に振った


「どこで見たの!?」

「この町の外れにある公園だけど………」

「………怪我、してたの?」


眉をひそめる男の表情に
春の脳裏には先程の映像が過り
嫌な予感に胸を押さえた


さっきのは夢じゃなくて
やっぱり現実だったんだ

………みんな、待ってて


目を瞑って意識を集中させると
春の周りに風が巻き起こり
ぶわっと大量の桜の花が舞う


「待って!!もうあの三人はここにいないんだ!」

「………え?」

「………俺が見たのは、」


公園に横たわる三人と
それを囲む黒いコートの集団


風が止んで、桜の花がひらひらと舞い落ちる


「あの三人は、¨EARTH¨に連れていかれた。今頃は………きっと、」

「よかったぁ〜」

「そう。よかった………は?」


男は思わず聞き返した


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