空の姫と海の王子


ハルがこれを好きなのを
カイトは知っている


「…バカイト……」


ひょっこりと布団から
真っ赤な顔を覗かせたハルは
カイトに抱き付いて胸に顔をうずめる

抱き締めるハルの腕が
小さく震えているのを感じ
カイトは撫でる手を止めた


「悪い、嫌だったか?」


優しく聞くとハルは首を横に振った

じゃあ何なんだと考えていると
ハルが小さな声で喋り始めた


「少し、怖い夢を見たの」

「うん」

「そしたら……カイトに会いたくなったの」

「うん」


髪を撫でてあげながら
カイトはハルの話を聞いた

夢の内容は話さなかったが
思い出したくないんだろうと思い
あえてカイトは聞かなかった


ハルはしばらく黙った後
カイトの服を握り締めて
震える声で言った


「……カイト、ぎゅーっして?」

「はいはい」


カイトは小さく笑うと
ハルを強く抱き締めた


「大丈夫だから」


俺がハルを守るから

ハルはずっと俺のそばにいて

離さないように

強く、抱き締めるからさ


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