空の姫と海の王子


能力者は言葉に能力(チカラ)を込める

言葉が長い程、
想いが強い程、

心の精霊は能力者に応えて力を貸す


「もう……これ以上何を奪うって言うんだよ!!!」


この町の為に涙を流したこいつは
他の能力者とは違うと思っていたのに


¨空¨と¨海¨は世界を救う


頭を過った伝説に
少しでも希望を抱いたのは
間違いだったんだ

所詮、能力者だったんだ


「消される位なら、消してやる!!!」


胸元から抜いた銀色の拳銃の
引き金を引いたと同時に

春の口元は弧を描いた


「《金平糖》」


パァン!!


銃声に掻き消された声が男に届く

目の前で起きる光景に
目を見開いたまま固まった

ゆっくりと下ろされた手から
銀色の拳銃が離れ、落ちていく


「……………嘘、だろ」


真っ黒な夜空から
雪の様に降り注ぐ
七色に輝く光の粒

崩壊したビルに触れると
ビルを光の粒に変えていく

見慣れた町が消えていく

横たわる子供も
ぬいぐるみも

光の粒に変わっていく


真っ黒な夜空を
七色の光の粒が覆い尽くすと
視界は突然、白になる



眩しい光が収まって
男はそっと、目を開いた


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