空の姫と海の王子


「春、おいで」


立ち止まったままの春に
葵が大きく手を振ったので
春は慌てて小走りをした

視線が自分に集中するのが分かり
少し頬を赤く染めながら葵の隣に並んだ

さっきまでのざわめきは消え
代わりに静寂がやってきた


「俺のパートナーになった、春」


ポン、と肩に手を置かれ
春は反射的に葵を見上げた


パートナー………って、え!?


初耳だった

しかもパートナーという言葉に
周りが一気にざわついた

それは良い意味でも、悪い意味でも

嫌悪の視線を送る者

困惑した表情の者


「………葵、そんな話」

「その話、初耳なんだけど?」


春の言葉に被るように聞こえた声に
食堂にいた人間は声のした入口に目を向ける

聞き慣れた声に耳を疑ったが
春も同じように入口に目を向け

その大きな目は更に大きく見開いた


サラサラの金色の髪が特徴的な男は
SUNのメンバーの証である
白いロングコートを着ていた

その金ボタンに刻印されている
SUNの紋章は幹部にのみ許されたもの


な、な、なんで………


「れ、れ「蓮……」


春の動揺した声はまた消され
食堂に葵の声が食堂に響く


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