空の姫と海の王子
何を言ってるの?
春は嘘なんかついてないよ?
悲しくなんか無い
辛くなんて無い
寂しくなんて無い
怖くなんて、無いのに
「大丈夫だよ。」
優しい声に反応して顔を上げた
優しい笑顔が見えた
「俺は春を独りにしない」
目頭が熱くなった
次の瞬間には頬を伝っていた
泣いていた。いつの間にか
「……独りにしないで………」
両手で顔を押さえた
溢れる感情を抑えるように
抑えきれない感情が嗚咽に変わる
声は震えていた
「春を置いていかないで……」