空の姫と海の王子
葵の制止を促す声を無視して
精神を集中させて更に力を込める
真冬にノースリーブワンピース
そんな有り得ない事を可能にする為に
使っていた能力も奈央の治療に使う
しかし、出血は少なくなったものの
完全に止まることはなく、力だけが
どこかに消えていくような感覚
そんな訳ない
止まるはず、絶対に
止まって、
止まって、
止まれ
「”空の能力を捨てない限り、春は何も救えない“」
静かな葵の声
その意味は春にも分かっていたが
認めたくなかった
認める訳にはいかなかった
「春は絶対に諦めない!」
リベルの言霊が鎖となって春を締め付ける
それでも春は送る力を緩める事なく
奈央の治療を続けていく
「それでも……俺は諦めさせる」
葵はそう言い放つと
リベルの言霊に能力を送った