空の姫と海の王子


「……あれ?」


奈央の目が覚めた

見慣れない天井を見つめて
何故、自分はこんな所にいるのか
ここはどこなのかを思い返してみるが
記憶がそこだけ切り取られているような
前にもあった感覚に舌打ちをした


「消された……か。うっざ」


しかも身体が思い通りに動かない
特に右手、誰かに掴まれているような


「目が覚めての第一声がうっざ?ほんと、可愛くないよねー、少しは可愛さの塊の春ちゃんを見習ったらどうなの?」

「………」


寝よう。
悪い夢に違いない


「あ、シカト?命の恩人に向かってシカト?うっざー、ろくな死に方しないよあんた」

「うっぜええええ!!なんなんだよお前!だっる!まじだる絡みやめてほしいわ、ってか消えてほしいわ!離せ!」


ベッドから起き上がると掴まれていた右手を
乱暴に振りほどいて隣に座る人物を睨み付けた

サラサラの金髪に空色の瞳

その綺麗な色の瞳に映る
感謝しろ下僕め、的な
偉そうな感情が丸見えだ


「?なに言ってんの?僕は偉いんだから、当然でしょ?」

「うっざ、うっざ、うっざあああ!なんなのほんと!何様だよ!」

「王子様。」

「謝れ!全国の白馬の王子待ちの女子に今すぐ土下座しろ!あんまみたいな王子様が存在したら夢が壊れる!」


当然のように言った王子様、蓮に怒鳴りつけ
奈央は盛大な溜め息をついた





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