空の姫と海の王子
「──ありがとう、か」
「それを言うのは私達の方だよ」
「……え?」
驚いたように顔を上げたアオイに
二人は笑って声を揃えて言った
『ありがとう』
表の世界にある空と海
世界を見守るだけの存在
世界で間違いが起きても
見守ることしかできないことが
とても、とても、悲しかった
「──そんな私達をアオイは呼んでくれた」
「呼ばれた俺達はアオイに会うために動ける身体を手に入れたんだ」
「俺が……呼んだから?」
「そう。アオイは世界を直す為に私達を呼んだの」
二人は少し悲しい顔をして
握っていたアオイの手を離した
深海のような深い海色のカイの髪が靡いた
澄み渡った空みたいな空色のクウの髪も
あるはずの無い風に吹かれていた
キラキラと光に当たると光る髪に
アオイも目をキラキラと輝かせた
「綺麗………」
「アオイの髪も綺麗だ」
「俺の髪が?」
「見たことないの?」