空の姫と海の王子


信じたくなかった


「……なんで?」

「言ったでしょう?私達は表の世界を直す為にこの姿になったの。私達はもう行かなきゃいけない」

「アオイも見ただろ?今直さないと表の世界は完全に壊れてしまう」


確かにそうだった

表の世界はめちゃくちゃだ

大地は大量の血が流れてるし
生物達の兵器は自然を壊している

それなのに争いは広がるばかりで
いつ終わるのかも分からない


アオイは唇を噛んでいたようで
口の中にジワリと血の味が広がった

表の世界の危機と
自分の孤独からの解放


また独りになるのは嫌だ
この二人と一緒にいると
楽しいということを知ってしまった

二人が表の世界に行ってしまったら
俺はまた独りになってしまう


「……嫌だ、行かないでよ……」

「アオイ……」

「独りは…嫌だよ……」


止まったはずの涙が
ボロボロと溢れてくる

困ったようなカイの顔も涙で歪む
カイにそんな顔してほしくないのに
俺の涙は止まりそうになくて


「嫌だ……っ!」


駄々をこねる子供みたいに
嫌だ、と何度も喚いた



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