空の姫と海の王子


──表の世界は平和になった

クウは風を操り天使達を天界に返した

カイは魔族達を海に流し魔界に返した

世界は再び三つに分かれたが
また同じ過ちを繰り返すかもしれない

何度も、何度も、

悲しそうに表の世界を見つめるアオイは
それでも二人が来てくれるなら、と
何度でも世界を直す覚悟を決めていた

一人で辛かったけど
二人がいるなら、俺は、


目を見開いた


見えていない筈のアオイに向かって
二人は優しく微笑んだ

その微笑みはアオイの望む笑顔では無い
そう、あれは、


別れ……?


二人はお互いの手を取り
祈るように目を瞑った


──この世界に鍵をかける

──アオイのそんな顔は見たくない


頭の中に流れてくる声
それは間違いなく二人の声

アオイは食い入るように世界を
その世界に鍵をかける為に
巨大な扉へと姿を変えた二人を見た

土を抉る程強く握った拳が
細かく震えている


──そんな怒らないでよ

──大丈夫、約束は守るから、



少しだけ、待っていて

この世界が、アオイの力を必要としない

強い世界に成長するまで


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