空の姫と海の王子


──少しだけ、待っていて


二人の声が聞こえなくなった

その代わりに聞こえたのは
錠が下ろされる重厚な金属音


その金属音も消えた時
世界は争いの痕を残したまま
嘘のように静まり返った

空も、海も、穏やかで

それはまるで

俺を安心させるかのように

とても静かで、

寂しいはずの心は
不思議と落ち着いていた



「ありがとう」



三つの世界を繋ぐ空と海に鍵が掛かった

これでもう、世界間の争いは消える


「ありがとう」


そして、いつか、近い未来には

世界から争いは消え去って
二人はまた突然、俺の前に現れる
そして、俺は、俺達は、


アオイは笑った


楽しみだ、また二人に会える事が
何よりもこの世界から
無意味な争いが消える事が


二人が頑張ってくれたんだ
俺は、俺にしか出来ない事をしよう

空と海に呼び掛けた時と同じように
表の世界に呼び掛ける

二人を、空と海を守ってほしい



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