空の姫と海の王子



「……だけどね、そんなことは初めから分かりきっていた。もうひとりでもいい。それでも、俺はやらなきゃいけない。……ねえ春、精霊の力を借りた人間達は、何をしようとしていると思う?」


振り返ることなく紡がれる言葉に
春は心がざわついたのを感じた

精霊の力を借りた人間達

優しい仲間達の顔が浮かんだ


「………この戦争を終わらせようとしてるんでしょ……?」


能力者に対する、
能力を持たない者達の能力者狩り

無差別に行われるそれを止める為に

その行為から始まった
能力者派と革命派の戦争

能力者達は、それを止める為に


「能力者、それは異端者。人間が持ってはいけない力を持ってしまった者。彼らの全員がそう思ったと思う?」

「……なにが言いたいの?」

「人間が持ってはいけない力を持って生まれた自分達は、神に近い存在であると。能力者こそがこの世界をまとめ、支配するべき存在であると。そんなおろかな人間達は考えたんだよ、能力者の力を”異端のもの“から“神の力”へとするにはどうすればいいのか………答えは単純だよ」


見せ付ければいい

能力を持たない者と能力者の
圧倒的な力の差を


春の心が震えた
信じたくないと、そんな訳が無いんだと

しかし、頭を過ぎったのは
壊滅したあの街


「彼らは”EARTH“それが俺達の倒すべき相手なんだよ」







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