空の姫と海の王子
◇Are you Happy?
──冬の曇り空は好きじゃない
重くのしかかってくるようで
圧迫感のあるこの感じ
………うぅ、憂鬱だなあ。
「晴れろー、晴れろー」
空に向かって手を伸ばして
呪文のように呟くが
勿論天気は変わらない
「…………」
そのまま空を見上げていたが
諦めたようにダラリと手を下げた
体を包み込む空色の光も
すでに消えそうな程に仄かなもので
「春様」
「……りーちゃん」
「そんな格好で外に出てはいけません。コートを持って参りました。マフラーに手袋にブーツにあと、暖かいココアも、それから」
両手いっぱいに防寒具を抱え込むリベルを見て
春は思わず吹き出した
リベルの表情がふっと優しくなった
「………やっと、笑って頂けましたね」
「え?」
「ここ一週間、春様はずっと難しい顔をされていましたから。他の者達も心配していたのですよ。……さあ、帰りましょう」
「……ごめんなさい」
春がそう言って俯くと
何故謝るのです?とリベルは微笑んだ
「……うん、ありがとー」
つられるように笑った春は
もう一度空を見上げて、帰路を急いだ
心配してくれた人達にお礼を言おう
……そして、