空の姫と海の王子


カツン、カツンと足音が響く

平日の昼間だからなのか
利用者はとても少なく
春はキョロキョロと本を探す


あるかもしれないのだ
この膨大な知識の中に
世界を救う方法が

だけど、


どこから探せばいいんだろー!!!


ドーンとその場に膝を着いた春

肩をトントン、と叩かれた


「あの……何かお探しですか?」

「はい……」

「あちらに図書を探す為の端末がありますが、ご案内致しましょ「是非!!お願いしますー!!」


飛びつくようにすがりついてきた春に
一瞬身じろぎするが、春の顔を見て

少し、笑った気がした

しかしそれはあまりにも一瞬で
気のせいかもしれないと思った春は
こちらです、と歩き出した
司書の後ろを追い掛けた


カツン、カツン


ずいぶん歩いた

春が少し退屈そうに欠伸をすると
司書は扉の前で足を止めた

なんだか少し禍々しい雰囲気に
春の身体はピクリと震えた


「さあ、どうぞ」


この中です

春はその扉をもう一度見て
そして、足を踏み入れた


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