空の姫と海の王子


……なんとも、ない?


やっぱり気のせいだったんだ
最近は少し疲れてたからかもしれない

春はホッと一息ついて廊下を進んでいく
奥の部屋から明かりが漏れている
きっとあそこが端末室なんだろう


「とても使い易い端末ですから、きっとすぐに見つかりますよ」

「そうなんですかー、本当にありがとうござい」


──ドン


言い終わる前に走った衝撃に
背中を突き飛ばされた事を知るが
春は何も出来ずに奥の部屋に倒れ込んだ

頭を打ったせいで視界がチラつく

そんなぼやけた視界の中で
投げ出された手の下に白線が見えた

その線は何本も部屋にあって
目で追うと壁にも天井にも続いていて


ドクン


心臓の音が早くなる
身体中が燃えるように熱い
逃げ出したいのに身体が動かない


何が起きてるの


瞳の色を空色に戻すと
淡い空色の光が身体を覆う

身体能力を極限まで上昇させて
そこまでやっても出来たのは
うつ伏せから仰向けになることだけ

しかし、そのおかげで見えたのは
部屋全体に描かれてた
見たこともない巨大な陣


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