空の姫と海の王子


パチ、パチ、パチ


乾いた拍手が部屋に響いた

葵は手を止めて春の前に立つと
真剣な表情でその瞳を見つめた


「よく言った。その気持ちを忘れるなよ」

「うん」

「……辛くなったら、頼れ」

「ありがとう、葵」


春の言葉に葵は小さく笑った

そして奈央と蓮を見て、話し出す


「これから俺と春で海斗を探しにいく」

「でも、海斗がどこにいるのか……」

「雷神達が調査した結果、ここから少し離れた街に異常に能力者が集まっているらしい。EARTHも海斗を探しているんだからそこにいる可能性は高い」


雷神


「サラ?サラがいるの?」

「いた、かな。今はまた別の事を調べてくれてる」

「そっか……そっか…!」


悲しそうな顔は一瞬だけ
サラもいるんだ、ほら、一人じゃない

みんないるんだ、大丈夫


「探すってさー……結局足でってこと?地道じゃない?」

「他に方法が無いんだから仕方ないでしょ。だけど春ちゃんならある程度まで近づけば感覚で分かるはずだよ」


春のずば抜けた感覚、感性、感受性は
どんな小さな気配も見逃さない

春は自信あり気に頷いた


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