空の姫と海の王子


「──みんなは?」

「買い物に行ったみたいで、あたしらは留守番だとさー」

「買い物ー?あいつらいつになったら行動するんだよ」


陸と奈々は不満そうに愚痴を零す

この建物全体に張られた結界に気付かずに
外で何が起きているのかも知らずに

ひかりは小さく笑った


「しょーがないでしょ、今のところSANは何も仕掛けてこないしEARTHは和議を申し出てる最中なんだから。変に行動出来ないっしょ」

「確かに私達は派手に動けないけど……もう一週間も閉じこもりっぱなしで肩がこるわ」

「俺が揉んでや「あら、気安く触らないでちょうだい」


奈々が笑顔で拒否すると
分かりやすく落ち込む陸

そんな二人を声に出して笑ったひかりは
さっきから窓の外をジッと眺める海斗を見て
その隣に立って同じように窓の外を見た


「何、何かいたの?」

「……別に何も無い。………ただ、」

「ただ?」

「………」


黙り込む海斗の横顔をチラリと見た


海斗は何かを感じようと集中して目を瞑るが
どうしても、ぼやっとしか感じられない

この感じはなんなんだ

どこか……懐かしい


ふと視線が空に移った

快晴、気持ちいいくらいの青空

ああ、こんな空を見上げた気がする
誰とだろうか、誰と見上げたんだろうか









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