空の姫と海の王子


「ありがとうございます。私は一緒にはいけませんが、この鍵がきっと奈央達の役にたつはずです。」


そういって差し出した小さな鍵を
奈央の手のひらに乗せて微笑む

金色が掠れて鈍く光るその鍵には
小さな緑色の宝石が付いていて
光に反射するそれを見て奈央は目を輝かせた


「なにこれ超可愛い!!!けど、これってなんの鍵?」

「そうですね…奈央さん達の"未来"を切り拓く為の鍵…とでも言いましょうか。」


きっと役にたつはずです。


「そっか…ありがとう!マスター!私達必ず勝ってみせる!勝って…私達の未来を掴み取ってみせる!!」


奈央は大きくそう宣言すると
席を立ってドアの方へ歩いていく

それを見た蓮も少し困ったようにため息をついて
奈央に続いてドアの前に立った


「あんまりはしゃぎすぎて目的を忘れないようにね、君は馬鹿なんだから。」

「うっるさいわね!!忘れないっての!」

「はいはいどーだか。」


鼻で笑う蓮とそれに怒る奈央
そんな二人を見てマスターは微笑んだ

マスターの微笑みに気づいた二人もまた
奈央は笑顔で、蓮は小さく笑ってドアを開いた


「いってきます!!」

「またね、マスター」


「ええ…いってらっしゃい。」


どうかご無事で

その言葉を呑み込んで二人を見送った
マスターにも分かっていたのだろう
この戦いは一筋縄ではいかないことも
多くの犠牲が出るであろうことも

それでもマスターは
二人の出て行ったドアを見て
願うように呟いた


「どうか、ご無事で」


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