空の姫と海の王子
『ゲートにいた守り人は二人の人間だった。……いや、人間だった者。生きている訳でも、死んでいる訳でもない者だ』
この世界で最高の権力を持つ
空と海の王族でさえ入れない空間
その事はこの場にいる全員が知っている
『……だが、いたんだ。守り人ではない者が。人間でも、天使でも、悪魔でもない。私達と同じ神でも、王族でもない者だ』
サラの言葉に全員目を見開く
そんな事は有り得ない
空と海が不可能な事を
その者は可能にした
それが意味するのは
空と海の力を上回る者の存在
「……誰なの。そいつは」
眉をひそめてナナが聞くと
サラは首を横に振った
『分からない。深い緑色の髪に金色の瞳の男など、天界でも魔界でも見たことがない』
『緑……?』
サラが特徴を述べると
ナナとミウは記憶を探し始めるが
緑色の髪など見たことがない
『……サラ様、ありがとうございました。ナナ様、私はしばらく帰れないとハルが起きたら伝えていただけますか?』
「え?いいけど……どこに行くの」
『……いえ、少し調べたい事があるだけなので』
リールはそれだけ言って
窓を開けてバルコニーに出ると
漆黒の羽根を羽ばたかせて
月の無い夜空へと姿を消した
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