空の姫と海の王子
リールが出て行くと
勝手に閉じた窓を見つめた後
ナナ達は顔を見合わせた
「あくまで情報は貰うだけなのね」
リールは何かを知っている
99パーセントの確率で的中する
ナナの野生の勘はそう訴えていた
『せっかちな天使だな。これからが本題だと言うのに』
「本題?」
『守り人と男の会話、だよね』
ミウの言葉にサラは頷き
ナナとミウはゴクリと息を呑んだ
『……男は私達をこっちに戻すよう、守り人達に命令した』
ある人へのプレゼントなんだ
そう言って笑った男に
守り人は逆らう様子も無く頷いた
男は楽しそうに守り人に話した
そういえばさ、始まったんだ
何がですか?
人間界で、能力者狩りが
守り人達が驚くと
男は懐かしそうに目を細めた
世界は平和になった
もう余計な力はいらないんだ
だから、消すんだよ
大丈夫
君達の子供だけは
僕が守ってあげるから
男が優しく微笑むと
女の守り人は涙を流し
男の守り人は頭を下げた
そして男はこっちを見て
クスリと小さく笑ったんだ
『空と海。もうそんなのはいらないんだよ。……って。そこで私達の意識は途絶え、気付いた時には桜の下に倒れていたんだ』
話し終えて、長い溜め息をついたサラは
チラリと眠りについているハルを見たが
そこにハルの姿はなかった
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